雨上がり、夏の匂いが無くなった。 じんわりと肌を冷やす湿度が通過する。 まだ半袖で駅まで歩く。 私は少し恥ずかしい。 水溜りに右足を引っかけて、すぐに染み込んだストッキングが気持ち悪い。 傘を持たずに家を出たせいで、帰りが遅くなってしまった。 髪の内側まで濡らした学生が、制服をひっつけて嬉しそうに歩く。 大げさな笑い声に圧倒されながらすれ違って。 また冬が来る。 お風呂上りにそのまま倒れて、戻らなくなった冬が来る。 今年も私は壊れたままのコタツで不器用に暖をとりながら、 いくつになってもイタズラな笑顔を思い出すだろう。 いつかまで、私は何度だって冬を迎える。
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