生活に過去

繋いだ手からわたしじゃなくなっていくのが心地いい。
泥のついた手を水で洗い流して
触れる香りが好きだった。

まだ新しいオートロックのアパートと
夜中に食べるカップ麺と
昼すぎまでベッドから起きないことと
絶対にわたしを殺さないのが好き。

無意識に世間に背中を押されて
踏み込んだ知らない生活。
わたしの当たり前は違法になって
あなたの当たり前が
わたしの当たり前になっていく。

諦めた理想に最後のチャンスを
生活を。

あと何年すれば
あなたの当たり前を
手にできるの。

あなたが嫌う私を
早く殺してよ。
わたしが殺す前に。

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