黒い虫

電気のチラつきと瞬きが重なる。目の端に映った黒い虫が私に向かって飛んでくる。今日はコンビニのおにぎり一つしか食べていないのに、喉の奥に何かがつかえて気分が悪い。お風呂上がりの緩んだ身体にもまだ緊張が残っている。
いつまでも前に進めない私の背中を叩く。
手当たり次第に友達に連絡して、一人にならないようにした。
また私は泣きながら電話をしてしまうし、きっと電話に出てしまう。同じことが繰り返されるだけの関係を、終わらせようと言い出したのは私の方だった。弱い自分もいい加減なその人も、私はもう飽き飽きとしていて、必要なのは距離なんだとわかっているつもりでいた。
大丈夫だと言い聞かせながら、私の選択に後悔して、前を向こうと顔を上げるけれど、何も見えなくて俯いてしまう。ここでも同じことを繰り返しながら、この窮屈な感情になんの意味があるのだろう。
スッキリと晴れた空が遠くて、目眩がした。

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