肌色

小さいころ、おばあちゃんちの隣に小さな公園があった。
学校から帰るといつも遊びに行った。
ある日いつものように公園に行くと、少し年上の男の子たちに靴が変だと笑われた。
その時のわたしは一番のお気に入りの靴を履いていて、かっこよくて大好きだった。
女の癖に男の子の靴を履いている私は、公園で遊んだらダメらしかった。
すぐに戻ってきた私の話を聞いて、おばあちゃんは私が遊び終わるまで、
ずっと公園で見ていてくれた。

知らなかった。
私が履いているのは、男の子用の靴らしい。
私は女の子で、女の子用の靴を履かなければいけないらしい。

塗り絵をするとおばあちゃんは、女の子の顔をピンクや緑で塗った。
足は黄色で手は紫だったりした。
私はそれは肌色じゃないから変だよというと、可愛いで~とクルクルと嬉しそうに塗った。
すぐに真似をして私も、グンジョウイロで女の子の顔を塗った。
とても可愛く塗れたと思った。
小学校でグンジョウイロは使ってはいけない色だった。
他の色を汚く見せるから、使ってはいけないと言われていた。
そう言った先生の顔も名前も覚えてはいない。

おばあちゃんは死んだ。
私の心を守ったまま、何かに怯えながら、逃げるように飛び降りた。
順番だからね、とお葬式で母は私を慰めた。

堂々と、好きな靴を履いて好きな色を塗れるおばあちゃん。
私はまだまだ、会えそうにない。

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